「相手から暴力を振るわれてそれを防ごうとしたら、そのまま殴ってしまった。」
「正当防衛を認めて欲しいがどうしたらいいのか分からない。」
暴行をしてしまったが、正当防衛であるとお悩みの方へ。
暴行が自分の身を守るためのものである場合は少なくありません。このページでは、正当防衛を主張できるのがどのような場面か説明しています。
暴行事件に強い弁護士に相談して、正当防衛を主張し、事件を解決しましょう。
Q 正当防衛とはどういう意味ですか?
正当防衛とは、相手からの急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するためにやむを得ずにした行為を、罰しないとする制度です。
したがって、相手に対して暴行したとしても、相手からの危害が差し迫っている状況であり、自分の身を守るためにやむを得ず暴行した場合には
正当防衛として不可罰となります。
Q 相手からの危害を予期していた場合に、相手に暴行しても正当防衛になるのですか?
たとえば、暴力団の対立抗争では、相手の暴力団員からの危害を具体的に予期しており、危害を加えられた場合には、その機会に積極的に反撃しようと考えている場合があります。
判例上、侵害の予期があり、かつ積極的な加害意思が事前にある場合には、たとえ防衛目的で暴行を行ったとしても、正当防衛は成立しないとされています。
ただし、侵害を予期している程度が小さい場合には、積極的な加害意思の程度が大きい場合でなければ、正当防衛は否定されません。反対に、積極的な加害意思の程度が小さい場合には、侵害を予期する程度が大きい場合でなければ、正当防衛は否定されません。
積極的加害意思大 | 積極的加害意思小 | 積極的加害意思なし | |
---|---|---|---|
侵害の予期大 | 正当防衛不成立 | 正当防衛不成立 | 正当防衛成立 |
侵害の予期小 | 正当防衛不成立 | 正当防衛成立 | 正当防衛成立 |
侵害の予期なし | - | - | 正当防衛成立 |
Q 相手と喧嘩して殴り合いになりましたが、正当防衛は成立するのでしょうか?
喧嘩の経緯や内容を全体的にみて、社会的に不相当と考えられる場合には、たとえ部分的に正当防衛が成立し得る状況であっても、正当防衛は成立しないと考えられています。
また、挑発行為や暴行に触発されて、相手が暴行に及んできた場合には、相手の暴行の程度が、先行する挑発や暴行(自招行為)を大きく上回るものでない限り、これに対する防衛行為について、正当防衛は成立しないと考えられています。
一方、初めは素手で殴りあっていたのに、ふいに相手がナイフを持ち出して攻撃してきた場合に、ナイフから身を守るために相手に暴行する行為については、正当防衛が成立する可能性があります。
相手の暴行が自招行為を大きく上回らない | 相手の暴行が自招行為を大きく上回る | |
---|---|---|
喧嘩内容が不相当 | 正当防衛不成立 | 正当防衛不成立 |
喧嘩内容が不相当とまではいえない | 正当防衛不成立 | 正当防衛成立 |
暴行事件で警察沙汰になったが、身を守るために暴行したという事案は少なくありません。きちんと言い分を主張して、捜査機関にも正当防衛として納得してもらえれば、不起訴になり、前科がつかないで済みます。