暴行に強い弁護士

暴行罪とは?

「暴行罪」とは何かについて知りたい方へ。

「暴行罪」に当たる行為は「人に対する物理力の行使」です。殴る蹴るといった行為だけでなく、服を掴んだり凶器を振り回す行為も暴行罪に該当する場合があります。

このページでは、暴行罪の「暴行」に当たる具体例や刑の重さについて解説していきます。

Q.「暴行」の意義とは?

「暴行」という行為は、刑法において各種犯罪成立のための構成要件要素とされています。ただし、各犯罪の保護法益や罪質によって、「暴行」の意義は異なってきます。「暴行」の意義は、一般的に以下の4つに分類され、「物理力の行使」という要素は共通しています。

分類意義該当する犯罪例
最広義の暴行人のみならず、物に対する物理力の行使を含む騒乱罪
広義の暴行人に向けられた物理力の行使公務執行妨害罪
恐喝罪
狭義の暴行人に対する物理力の行使暴行罪
傷害罪
最狭義の暴行人に対する、反抗を抑圧するに足りる物理力の行使強盗罪
強制性交等罪
強制わいせつ罪

Q.暴行罪とはどのような犯罪ですか?

刑法208条

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

前章で述べたとおり、暴行罪における「暴行」とは、「人に対する物理力の行使」をいいます。人を殴ったり、蹴ったり、押したり、投げ飛ばしたりする行為が典型例です。

暴行罪は、個人の身体を保護法益とするので、暴行を受けた被害者の人数だけ暴行罪が成立します。したがって、同一の機会にAとBの2人に暴行した場合には、AとBそれぞれに対して暴行罪が成立します。

Q.暴行罪の具体例

上記典型例の他、裁判所が暴行罪の「暴行」と認めた行為として、以下のような例があります。

暴行罪の「暴行」は、人の身体に向けられたものであればよいので、人の身体に直接接触する必要はありません(例③、⑤、⑦)。例③のように、人に命中しない場合でも暴行罪の「暴行」に当たります。

また、音や光、電気等のエネルギーを利用する行為も「物理力の行使」に含まれます。(例⑥)

暴行を加えて、相手に傷害の結果が発生すれば、暴行罪ではなく傷害罪が成立します。判例は、「人の生理的機能に障害を加えた場合」に傷害の結果が発生したと認めています。例①のように、髪の毛を切断する行為等は、人の生理的機能に障害を加えたとは認められないため、傷害罪ではなく、暴行罪が成立します。

  • 服を掴んで引っ張る行為
  • 髪の毛を切断したり、剃ったりする行為
  • 驚かせる目的で、人の数歩手前を狙って石を投げる行為
  • 食塩を他人の顔や胸等に数回降りかける行為
  • 狭い室内で脅かすために日本刀を振り回す行為
  • 携帯用拡声器を用い耳元で大声を発する行為
  • 高速道路上で並進中の自動車に嫌がらせをするために「幅寄せ」をする行為

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